夏は、そうめん、冷たいそば、冷やし中華、冷製パスタの出番が増えます。乾麺は保存がきいて便利ですが、何もせずにゆでると、外側は柔らかいのに中心だけ硬い、少しぼそぼそする、と感じることがあります。
そんな乾麺を、ほんの少しおいしくする方法があります。ゆでる前に、常温の水へ約10分浸す。たったこれだけです。
筆者は乾麺そばだけでなく、そうめん、乾燥中華麺、パスタでも試しています。麺によって変化の大きさは違いますが、先に水を吸わせると、食感が滑らかになり、いつもの乾麺が少し生麺へ近づいたように感じられます。
先に結論:乾麺を水へ10分浸し、表示時間より早めに一本食べて硬さを確認する。冷たい麺は、ゆでた後にしっかり洗って冷水で締める。まずは、この方法で十分です。
なぜ、水へ浸すと食感が変わるのか
乾麺は、ゆでながら外側から水を吸います。太さや乾燥状態によっては、外側へ火が入りすぎても中心まで十分に水分が届かず、硬さにむらが出ることがあります。
先に水へ浸すと、加熱前から麺の内部へ水分が入り始めます。その状態でゆでることで、中心まで均一に火が入りやすくなり、表面の滑らかさや、もちっとした食感につながると考えられます。
麺の吸水と食感の関係は研究されていますが、原料、太さ、製法によって結果は変わります。また、乾麺そばについては、水へ浸す方法を勧める職人と、コシが失われるとして勧めない専門家の両方がいます。つまり、すべての乾麺に共通する絶対的な正解ではありません。
それでも、家で食べる乾麺なら、自分が好きな食感になるかを一度試す価値はあります。高価な調理器具も、特別な材料も必要ありません。
基本は「水へ10分、その後に加熱」
- 麺を折らずに入れられるバット、フライパン、保存容器などを用意する
- 乾麺全体が浸る量の常温水を入れる
- 最初は10分を目安に浸す
- 柔らかくなった麺を崩さないように取り出す
- 沸騰した湯へ入れて加熱する
- 袋の表示時間より早めに一本食べ、硬さを確認する
- 冷たい麺は流水でもみ洗いし、最後に冷水で締める
水へ浸すだけでは食べられません。吸水後も必ず十分に加熱してください。長時間室温へ放置せず、浸したらすぐ調理します。加熱時間は麺の太さや製法で変わるため、袋の表示を基準に、早めから状態を確認してください。
そうめんは、途中で一度触って確認する
そうめんは細いため、そばやパスタより早く水を吸います。筆者は約10分でおいしく感じましたが、細い製品は5分ほどで一度持ち上げ、柔らかくなりすぎていないか確認すると失敗しにくくなります。
ゆでた後は、流水で表面のぬめりをしっかり落とします。キッコーマンの基本調理でも、たっぷりの熱湯、表示どおりのゆで時間、流水でのもみ洗いが、おいしく仕上げるポイントとして案内されています。水へ浸す方法を試す場合も、最後のもみ洗いは省略しません。
乾麺そばは、ぼそぼそ感が気になる人に
水戻しの変化を感じやすいのが乾麺そばです。水へ10分浸すと、中心だけに残る硬さが減り、表面が滑らかになったように感じられます。
一方で、硬めのコシや、乾麺らしい歯切れを好む人には合わないことがあります。最初は一束すべてではなく、半分を通常どおり、半分を水へ浸してゆでると、自分の好みを比べられます。
乾燥中華麺は、もちっとした冷やし麺へ
乾燥中華麺には、そうめんとは違う独特の弾力があります。先に吸水させると、外側だけが柔らかく中心が硬い状態を抑えやすく、もちっとした食感を感じられます。
夏なら、冷やし中華や、つけ麺風にして食べるのがおすすめです。製品によって、かん水の量や麺の太さが大きく違うので、ゆで時間は一律に決めず、必ず途中で確認します。
パスタは、太さによって時間を変える
パスタも、先に水を吸わせると、もちっとした食感になり、ゆで時間を短くできる場合があります。ただし、そうめんと同じ10分では、太いパスタの中心まで十分に吸水しないことがあります。
細めのパスタは10分から試し、太いパスタは浸す時間を延ばす。加熱時は袋の表示時間より早めに一本取り出し、中心の硬さを確認します。冷製パスタにするなら、少し硬さを残して引き上げ、冷水で締めると食感を保ちやすくなります。
麺を3%おいしくしたら、つゆも替えてみる
乾麺の食感を整えても、つゆがいつもどおりなら、食事全体の変化は小さいかもしれません。ところが先日、筆者は「つゆを替えるだけで、ここまで違うのか」と感じる一本に出会いました。
キッコーマンのBLENDER’S PRIDE だしつゆです。500mlで税込1,080円。普段使いの麺つゆと比べれば、気軽にかごへ入れる価格ではありません。
それでも、口にした瞬間、少し大げさではなく「これを知らずに夏の麺を食べ続けていたのは、人生を少し損していた」と思いました。しょうゆの塩味だけが前へ出るのではなく、だしの香りと厚みがあり、麺をもう一口食べたくなる余韻があります。
おいしさの理由は、4種類の節と羅臼昆布
公式情報によると、だしには、かつお節、さば節、うるめ節、まぐろ節の4種類と羅臼昆布を使用。つゆの骨格になる「かえし」には、うすくち、たまりなど3種類のしょうゆ、甘みの異なる複数の砂糖、みりんを使っています。
さらに、だし素材へ熱を加えない特別な製法と、香りの飛散を防ぐ抽出方法を採用しています。筆者が感じた香りの強さや、味の層の厚さには、きちんと理由がありました。
そうめんやそばのつけつゆだけでなく、炊き込みご飯、煮びたし、煮物にも使えます。少し高価でも、夏の麺を何度も食べる家庭なら、一度試してみる価値のある一本です。
※価格と商品情報は2026年8月24日時点。原材料には小麦、大豆、さばが含まれます。購入前に最新の商品表示をご確認ください。
地方の醸造所が作るつゆも、次に試したい
麺つゆは、大手メーカーだけのものではありません。各地の醤油蔵や味噌蔵が、その土地のしょうゆ、だし、甘さを生かしたつゆを作っています。
- 岩手・佐々長醸造「老舗の味 つゆ」:大量のかつお節を使い、職人が手作業でだしを取る
- 福井・室次醤油「さばだしつゆ」:1573年創業の醤油蔵が作る、さばだしのつゆ
- 北海道・福山醸造「めんつゆ」:昆布醤油に、かつお節、さば節、煮干しなどを合わせる
これらは、現時点では筆者が実食して順位をつけた商品ではありません。次に取り寄せて、同じ乾麺、同じ濃さ、薬味なしという条件で比較してみたい候補です。
いつもの乾麺は、まだおいしくできる
高価な生麺を買わなくても、特別な調理器具をそろえなくても、乾麺を水へ10分浸すだけで食感が変わることがあります。
そうめん、そば、中華麺、パスタ。家にある麺を一度、通常調理と水へ浸したものに分けて食べ比べてみてください。そこへ本当においしいつゆを合わせれば、手軽な夏の昼食が、少し楽しみな一食になります。
大きく暮らしを変えなくてもいい。水へ10分浸す。つゆを一本替える。その小さな違いで、いつもの乾麺は3%以上おいしくなるかもしれません。
※吸水・加熱時間は、麺の原料、太さ、製法、室温などで変わります。商品パッケージの注意を確認し、吸水後は速やかに十分加熱してください。本記事の味に関する表現は筆者個人の感想です。


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