子どもが成長すると、どうしても余ってしまうものがあります。
サイズアウトした服。使わなくなった哺乳瓶。そして、まだ何枚も残っている未使用の紙おむつ。
誰かに譲れるほどの枚数ではないし、かといって未使用のまま捨てるのはもったいない。わが家にも、そんな紙おむつが残っていました。
ところがある日、家で焼肉をしたあと、その紙おむつが思いがけないところで役に立ちました。
紙おむつは、子どもが身につけるものとしては役目を終えていても、大量の水分を吸収し、漏れにくい状態で処分できる吸水材としては、まだまだ優秀です。
家焼肉の後片づけから夏のレジャー、車内の非常用品、災害時の簡易トイレまで。余った紙おむつの意外な使い道を紹介します。
この記事で使うのは、サイズアウトなどで余った未使用の紙おむつです。使用後の紙おむつを再利用する内容ではありません。
1.家焼肉で残った「脂の浮いた水」を吸わせる
わが家では、ときどき卓上コンロを使って焼肉をします。
使っているコンロは、肉から落ちる脂を受けるため、下のトレーに水を張るタイプです。煙を抑えやすく、家焼肉には便利なのですが、食べ終わったあとに困ることがあります。
それが、脂の浮いた大量の水をどう処分するかです。
油が混じっているので、そのまま流しへ捨てると、排水管の中に脂が付着する原因になります。だからといって、水分が多いままごみ袋へ入れれば、袋が破れたり、回収時に汁が漏れたりする心配があります。
そこで使ってみたのが、子どもが大きくなって余っていた紙おむつでした。
コンロの水が完全に冷めてから、大きめのビニール袋の中に紙おむつを広げ、脂の浮いた水を少しずつ注ぎます。水分がおむつに吸収されたら、袋の口をしっかり縛り、自治体の分別方法に従って処分します。
水分が袋の中で動かなくなるので、液体のまま捨てるより扱いやすくなりました。
わざわざ専用の処理剤を買うほどではない。でも、流しには捨てたくない。そんな家焼肉の小さな困りごとに、余った紙おむつがぴったりはまりました。
熱い状態の水や脂を入れるのは危険です。必ずコンロと受け皿が十分に冷めてから作業してください。一度に注ぐと吸収しきれないことがあるため、様子を見ながら少しずつ吸わせます。
2.夏のレジャーで使える大きな保冷剤にする
紙おむつは、水を吸わせると内部の吸水材が膨らみ、水分を抱え込んだ状態になります。
この性質を利用して、水を吸わせた未使用のおむつを冷凍すれば、大きな保冷剤として使えます。
紙おむつへ少しずつ水を吸わせ、吸水面を内側にして折りたたみます。それを液漏れに備えて丈夫な密封袋へ入れ、平らな状態で冷凍します。膨張に備え、袋には余裕を持たせてください。
一般的な保冷剤より面積が広いため、クーラーボックスの底面を冷やしたいときや、バーベキューへ食材を持っていくときに使いやすいのが利点です。
市販の保冷剤と同じ性能が保証されたものではありません。食品へ直接触れさせず、必ず密封袋に入れて使用します。身体を冷やす場合も肌へ直接当てず、タオルで包み、冷やしすぎないようにしてください。
3.クーラーボックスの底に敷いて、溶けた水を吸収する
クーラーボックスを使ったあと、底に水がたまっていた経験はないでしょうか。
氷が溶けた水だけでなく、冷たいペットボトルや食品から出た結露もたまります。帰宅後に重いボックスを傾けて排水し、底を拭いて乾燥させるのは、地味に面倒な作業です。
そこで、クーラーボックスの一番下へ紙おむつを開いて敷いておきます。
溶けた水や結露を吸収してくれるので、水が底を動き回りにくくなります。大きな保冷剤として使ったおむつを、解凍後にそのまま吸水材として使うのも一案です。
おむつの上にはトレーや袋を置き、食品が直接触れないようにします。吸収できる量は製品やサイズによって異なるため、ときどき状態を確認しましょう。
「冷やす」と「溶けた水を吸う」。ひとつで二役をこなせる、夏向きの使い道です。
4.生ごみ袋の底に敷いて、汁漏れを防ぐ
気温が高い時季は、生ごみの水分が気になります。
肉や魚のパックに残った水分、野菜くずから出る汁、食べ残しに含まれる水分。きちんと水を切ったつもりでも、ごみ袋の底にはいつの間にか液体がたまっています。
袋に小さな穴があれば、ごみ箱の中や床へ漏れてしまうこともあります。
そんなときは、ごみ袋の底へ未使用のおむつを1枚広げておきます。生ごみから出た水分を吸収し、袋の底に液体がたまるのを抑えてくれます。
特に、ごみの回収日まで数日空くときや、魚を調理した日などに便利です。
ただし、おむつを入れたからといって臭いや雑菌の発生を完全に防げるわけではありません。生ごみ自体の水気をよく切り、袋の口をきちんと閉じることが基本です。
油を大量に処分する用途にも向きません。揚げ油などは、自治体が案内する方法や専用の凝固剤を利用してください。
5.ごみ袋と一緒に車へ積んで、嘔吐対策にする
紙おむつを数枚、ごみ袋と一緒に車へ置いておくと、急な車酔いや体調不良の際にも役立ちます。
使い方は、ごみ袋の底へ紙おむつを開いて入れておくだけです。
袋だけの場合、吐しゃ物が中で動き、持ち運ぶときや口を縛るときにこぼれる心配があります。底のおむつが水分を吸収すれば、液体が動きにくくなり、使用後の袋も扱いやすくなります。
小さな子どもとのドライブだけでなく、大人の急な体調不良にも備えられます。災害や大渋滞で長時間車内にとどまることになった場合にも、ごみ袋と紙おむつの組み合わせは役立ちます。
使用後は袋の口をしっかり縛り、可能であればさらに別の袋へ入れて密封します。感染症の可能性もあるため、直接触れず、処理後は手洗いや消毒を行ってください。
6.断水時には簡易トイレの吸水材になる
余った紙おむつの使い道として、最も覚えておきたいのが災害時のトイレです。
大きな地震や水害が起きると、断水だけでなく、下水管の損傷によって水洗トイレを流せなくなることがあります。水が出るからといって流してしまうと、汚水が逆流する可能性もあります。
災害用トイレや凝固剤を用意していない場合、紙おむつは排泄物の水分を吸収する材料として代用できます。
使用するときは、便器内の水に触れないよう便器へごみ袋をかぶせ、その上からもう1枚の袋を設置します。上側の袋の中へ紙おむつを広げて置き、使用後は空気を抜きながら袋の口をしっかり縛ります。処分方法は、災害時の自治体の案内に従います。
東京都も、災害用トイレの凝固剤がない場合、吸水性の高いペットシートや紙おむつで代用できると案内しています。
また、警視庁災害対策課が、サイズアウトした子ども用紙おむつへ1リットルの水を入れる実験を行ったところ、水が漏れなかったと報告しています。ただし、吸収できる量は製品やサイズ、液体の状態によって異なります。家庭で使うおむつが必ず同量を吸収できるとは限りません。
参考:東京都「もしもの時に困らないトイレの備蓄」/警視庁「使わなくなった紙おむつも役立ちます」
紙おむつは、あくまで専用の携帯トイレがない場合の応急策です。臭いを抑える機能や処理のしやすさを考えると、凝固剤と防臭袋がセットになった災害用トイレも別に備蓄しておくのが安心です。
余ったおむつは、一か所ではなく分けて保管する
余った紙おむつを、袋ごと押し入れの奥へしまっておくと、必要なときに存在を思い出せません。
そこで、用途に合わせて数枚ずつ分けておきます。
- キッチンに、焼肉後の水や生ごみ対策用
- 車内に、ごみ袋とセットで嘔吐対策用
- レジャー用品の近くに、保冷・吸水用
- 防災用品の中に、簡易トイレ用
紙おむつは吸水力が高いぶん、保管中の湿気や水濡れには注意が必要です。未開封の袋や密封袋に入れ、乾燥した場所で保管します。
「もう使わない育児用品」ではなく、高性能な吸水材
紙おむつは、子どもが成長した瞬間に役目を失うわけではありません。
家焼肉で残った脂水を吸わせる。夏のレジャーで保冷剤にする。クーラーボックスや生ごみの水分を受け止める。車内の急な体調不良に備える。そして、断水時には簡易トイレの吸水材になる。
わが家では、処分に困っていた焼肉コンロの水がきっかけで、紙おむつを「履くもの」ではなく「水分を閉じ込める道具」として見るようになりました。
サイズアウトして余っている未使用のおむつがあれば、すぐに捨てず、何枚かをキッチンや車、防災用品へ移しておいてはいかがでしょうか。
いつか役立つかもしれないものではなく、普段の小さな困りごとにも使えて、そのまま災害への備えにもなる。
余った紙おむつには、思っていたより長い第二の出番があります。


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